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 『髙﨑 賀朗 展-INTRODUCTION-』は、沖縄の暮らしの中で体験する身近な日常の出来事を作品制作の題材として、2011年から現在までに制作した様々な絵画表現と版画表現による平面作品を中心とした展覧会です。

 私の作品は、人間に関わる「生命・時間・記憶」を主題としています。個展1階会場は、まず、沖縄に移住する以前に制作した未発表作品『蛍』、『ゼツメツキグシュ』を展示します。『蛍』は、いにしえの人が蛍の住む水の清らかな場所とそこで明滅する蛍の幻想的な光の様に、想いを廻らせ「螢沢」や「螢坂」などの地名を考えたであろうことに思いをよせて制作した作品です。『ゼツメツキグシュ』は、絶滅を危惧される植物の名を題材として描いています。この名が示すものは、現代社会において他の物事に置き換えることができるのではないかと考えます。

 つぎに、『生—時を刻む,首里』(2014)は、沖縄に移住して間もない2012年に自宅周辺で行なわれた不発弾処理による一時避難の体験を作品化したものです。これまでに経験したこのとないこの出来事は、土地の記憶や兵器の存在について深く考える契機となりました。

 そして、新作『地表の名』(2018)は、前述した『生—時を刻む,首里』(2014)を作品制作の背景として整理した新たなシリーズです。沖縄戦による爆弾投下から時を経て、これまでに不発弾処理及び撤去された場所の名を描いています。

 場所の名は版画技法(シルクスクリーン)で摺り、画面背景は絵画技法(アクリル画)を用いて滲ませながら描いています。これらの場所が、時を経て当時の記憶から徐々に解き放たれ、新たな場所・風景へと変貌を遂げている現実について表現しています。

 2階会場では、まず、『鏡像』(2016)、『image』(2017)を展示します。これらは不発弾処理による一時避難の体験後に、ものの見方や捉え方が一変したことについて表現した作品です。『鏡像』(2016)は、日頃から目にする身近な首里の風景を題材として撮影した写真画像を、シンメトリーに構成することで立ち現れる異形と静寂さを伴う色彩が特徴となる版画作品です。

 『image』(2017)は、上述した『鏡像』(2016)のうち『鏡像,2-a,2016』を作品制作の背景として絵画技法(コラージュ)を用いて制作しています。題材となる風景は、円鑑池と呼ばれる首里城内の湧水・雨水が溜まる人工池です。池の中には中之島があり弁財天堂が建立されています。日頃から気にかかる風景を写真に収め、その画像の一部分にひとつの色面を加え紙にコラージュしています。つぎに『生—家族と共に,沖縄2011』(2011)は、新潟から沖縄への移住を題材としています。また、『生—時を共に過ごす,2013』(2013)では、家族の記憶と東日本大震災により引き起こされた社会的な問題についての記憶の双方について表現した作品です。この2点は共にキャンバス・和紙にミクストメディアにより制作しています。そして、2階会場の最後は、『生—明日,2011』(2011)、『生—明日,2013』(2013)を展示します。幼い生命が、この地で成長していく一瞬の様子を版画と言葉により表現した作品です。

 以上の作品について展示を行なう予定です。ぜひ、多くの方々にご高覧頂き、ご意見、ご感想をいただければ幸いです。

                                                        髙﨑 賀朗