EXHIBITIONS
緑の部屋:平和の島
上原沙也加写真展
会期: 2025年2月 7・8・9 日
14・15・16 日
21・22・23 日
※金・土・日の OPEN となります
AM11:00〜PM18:00
・最終日はPM17:00
8日(土)トークイベント 15時~
若手美術家の登竜門として知られる「VOCA(ヴォーカ)展2024」(来年3月14~30日、上野の森美術館)で、沖縄県糸満市の写真家、上原沙也加さん(30)の「幽霊たちの庭」が、奨励賞と大原美術館賞のダブル受賞を果たしました。
Profile
上原沙也加うえはら・さやか
1993年沖縄県生まれ。写真家。東京造形大学卒業。主な受賞に、第36回写真の町東川賞新人作家賞(2020)、「VOCA展 2024 現代美術の展望─新しい平面の作家たち」VOCA奨励賞、大原美術館賞(2024)、出版物に『眠る木』(赤々舎、2022)がある。風景のなかに立ち現れる記憶や傷跡、場所や物が保持している時間の層を捉える実践として、写真作品を制作している。
上原沙也加は、出身地である沖縄島を生活の場所として記録しつつ、その細部に重層的な時間の断面を示すような写真作品を制作してきた。2023年夏からは、隣島である台湾にも関心を向け、通いながら撮影している。
台湾で訪れた場所や滞在中に出合った出来事をもとに制作されたシリーズ「緑の部屋」は、政治的変遷を経て残る特定の建物や場所の風景、さらにそこから持ち帰ってきた事物を撮影した白黒写真とテクストから構成される。本展では「緑の部屋」シリーズ新作「平和の島」を展示する。
「平和の島」は台湾の基隆港の東側に位置し、玄関口でもある和平島を起点に制作された作品。和平島は元々原住民族が暮らしており、漢民族が基隆で最初に住み着いて、17世紀にはスペインとオランダが支配権を争った場所でもある。さらに日本統治期には「社寮島」と呼ばれ、500人以上の琉球人が住む集落・琉球埔があった。戦後、二二八事件が起こると、島の海岸は虐殺の場となったという島。
上原は島の輪郭を丹念に足で辿り、一つひとつの事物の来歴を確かめるようにカメラに収めた。無人のビーチや造船所、砲台跡の残る高台や、窓越しに見える小さな橋は、場所が辿ってきた複雑な歴史を垣間見せる。さらに、過去の時間のなかに身体ごと入り込み、想像するための実践として、私的な空間に事物を持ち帰り、手で触れる瞬間も写真に収めた。それは上原が生まれ育った沖縄に流れる時間とも折り重なり、現在まで続く島々の関係性や複数の歴史についても考えを巡らせることになる。
また「緑の部屋」と蝶番の関係にある、台湾での旅の記録を綴ったカラー写真のシリーズ「緑の日々」も一部展示される。
2月8日15:00からは上原と金惠信(美術史研究・沖縄県立芸術大学客員教授)のトークを実施。参加無料・出入自由。
タイトル
上原沙也加写真展「緑の部屋:平和の島」
場所
ギャラリーアトス(沖縄県那覇市金城1-7-1)
(IMA LIBING WITH PHOTO GRPHYより)